「女性のための歯周病講座」(深田邦雄著)を読んで
患者さまより感想文をいただきました。
いつもとっても勉強熱心な患者さまで、こちらも頭が下がります…
女性のための歯周病講座を読んで
興味深く一気に読みました。骨の再生、勇気づけれらます。ただ、五十、六十才代の症例の無いのが残念です。
「女性と歯周病」の章、それは歯周病ならずとも、日々を生きるうえでの心構えと相通じるのではないかと思います。
私が一番心惹かれたのは、本の見返しに書かれた著者自筆の言葉です。
山川草木薫皆成仏
歯を体の一部と認識はしていても、尊い命であることにまで思い及んでいませんでした。
私の音楽や絵本活動のテーマは「いのち」です。保護者、保護者向け講座「絵本で子育て」のサブタイトルは「いのちを育む」としています。
「いのちのおはなし」の著者日野原先生は、命とはドキドキと打つ心臓のことでも寿命でもない、それはその人の持っている時間のことなのだ、その時間を自分の為だけでなく、人の為にどれだけ使えるかが自分の命をも充実させるのだとおっしゃっていますし、その自分の時間のすべてを、後生の私たちの為に捧げてくれた若者達の話「すみれ島」。「スーホの白い馬」では、生あるものはいつか死を迎えます。けれどその思い出は心の中で生き続け、生きる勇気を与えてくれるのです。「ちびゴリラのちびちび」では、子どもは多くの人に愛されれば愛されるほど豊かに育つのだと。「スーホの白い馬」や「すみれ島」は、時には馬頭琴やバイオリンとコラボしながら、子ども達から大人まで語り続けています。
そして、気づいたのです。ついこの間まで日本には、抜けた乳歯を「ネズミのような強い歯が生えますように。」と唱えながら、下の歯は屋根に、上の歯は縁の下に投げる風習がありました。
(東洋の仏教国には同じ風習がありますし、西洋では夜、ネズミや妖精がお金やプレゼントに替えてくれるそうです。)
これは、役目を果たして命を終えた乳歯への感謝の儀式ではないのか、乳歯を自然に返す儀式ではと思うのです。
私の歯も六十年近く働き、その命を終えたのですから、持ち替えて土に返さなければならなかったのかも・・・
「一病息災」、昨年の一月、頸椎症で両手足がしびれ、包丁もお箸も持てず、字も書けない、信号を渡りきれない、こんな状態が一生続いたらと思うと不安と恐怖で眠れませんでした。
今、要観察ではありますが、日常生活がつつがなく遅れるのがありがたく、セッションで多くの人々とふれあえる、こんな幸せはありません。
また、歯周病(あまり嬉しくはないのですが)を通じて、いろいろ考え、知る機会を得ました。
私の免疫力アップの源は、未熟な私を支え、応援して下さる多くの方々の笑顔です。子ども達、子育て中の若いお父さんお母さん、ボランティア、高齢者の皆さん、本当に感謝です。
そして、これから迎えるであろう人生のたそがれ時、老醜のシワではなく、豊かなシワを刻むことができたらと思います。
歯科医業人ではなく、歯科医療人の先生に巡り合えた事に感謝です。
その橋渡しをして下さった奥様に感謝です。
天王寺区よりご来院の女性 Kさま 60代